
ケースワークは対人業務であり、金銭に絡む仕事である以上、クレーマーの出現は後を絶ちません。今回は役所に来るクレーマーの特徴とその対処についてお話しします。
■理不尽なクレーム
役所人生が長くなると様々なクレームに遭遇します。よく「クレームは改善に向けた宝の山です!!」のような美談を聞きますが、役所のクレームは理不尽なものばかりで、正直嫌でした。今回はクレームについてお話しします。
<事例1>※これは福祉現場ではなく、別部署で経験したクレームです
(A氏)○○公園に設置されている案内板の表記が誤っている。あの場所は、○○の歴史があっ て、本来は△△の表記が正しい。早く修正しろ
(私)設置者は区ではなく東京都です。区の設置物ではないため、こちらでは対応しかねます。設置者の東京都○○部署をお伝えしますので、恐れ入りますがお客様から直接お問い合わせいただけないでしょうか。
※修正を訴えている内容も正しいのか相当怪しい。いずれにしても区が盤面の内容について都に指示する立場にはない。
(A氏)区に設置されているものだろう。とにかくお前らで何とかしろ。
→徐々に興奮度が高まり、庁舎のフロア全体に響くくらい声のトーンも上がりだす。
以後、1時間以上自分の思いを語り続け、数か月間隔で忘れたころに同じ案件で来所する。ちなみにマスクがなければ息もできないほどの悪臭の持ち主。
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<事例2>障害福祉サービスの減少に伴うクレーム※B氏は生活保護受有者
(B氏)障害福祉給付金が減少して、サービス量も減った。生活が大変苦しい。
(私)障害福祉給付金は生活保護とは別法からの支給となります。担当部署にお伝えします。
(B氏)担当者だろう。何とかしてほしい。
(私)申し訳ありませんが、当方では対応しかねます。
(B氏)区職員は本当に対応が悪い。生活保護は最悪。こんなの早く辞めたい。
→以降、思いつく限りのクレームを言い続け、福祉オンブスマンに通報すると言い出す。後日、オンブスマンから連絡が来るが、淡々とやりすごす(向こうも「またか‥」と分かっている)。
■クレーマーの特徴
役所のクレーム常習者は、以下の特徴がありました。
〇常識が通用しない。
〇要領を得ておらず延々と同じことを話す。
〇視点が極端に偏っている。
クレームに慣れてないうちは焦ります。何とか妥協点を見出したり、とにかく話を聞いてさっさと帰ってもらうスキルがないので当然です。
また、見て見ぬふりの職員からの「変な奴に絡まれて気の毒ね」の視線が辛いです。
どうにもならない理不尽な要求はあります。「やな奴に捕まったな。今日はついてない」と後に引きずらないことも大切です。クレーム対応がうまくいかなくても誰も貴方の評価を下げたりしません。
■お客様対応の基本
私はお客様対応でクレームを受けた経験は一度だけありました。1年目に相槌で思わず「うん」と言ってしまったのです。相手はこれが相当不快だったようで、お叱りを受けました。
これ以外は、クレームを受けたことはなかったと思います。最後にクレームを受けにくいお客様対応のポイントを書いておしまいとします。
・名を名乗る。
・挨拶をする。
・声のトーンは、大きすぎず・小さすぎず
→大きく元気なら良いわけではない。
・相手の立場を考える。この人は本当のところ何を求めているのか?
・基本は相手にしゃべらせる。
・逆に自分はしゃべりすぎない。コンパクトな回答を意識する。
・時々相槌を入れる。相槌は「ハイ」。
・適当な回答はしない。分からないときは、「調べて、後日回答します」でOK。
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