(33)区役所の仕事(防災担当)

その他

 「災害から区民を守る」。これはある意味、区職員に求められる究極の役割です。その中核的な役割を担うのが防災課です。今回は防災課の仕事と、台風上陸時、災害対策本部で従事した私の経験をお話ししようと思います。

超多忙な防災課職員

 私が在籍した人事課の近くに防災担当の執務スペースがありましたが、残業のない日はないくらい毎日遅くまで残っていました。少人数にもかかわらず、業務量が増加しているためです。防災担当の主な仕事は以下のとおりです。

〇危機管理全般に関すること

〇地域防災計画の作成・修正

〇職員・区民の防災意識の啓発

〇災害発生時の災害対策本部の事務全般

〇防災備蓄の管理

〇地域の防犯対策

〇地域の消防団に関わること

 一つ一つの仕事のボリュームが多く、地域防災計画はそれこそ数百ページのボリュームがあります。これを少数の職員で分担して裁くわけですから、それは負担も大きくなります。台風などが上陸すると、それこそ議会でも質問の嵐が吹き荒れます。本当に大変な部署で、頭が下がります。

災害発生時の体験①(防災本部の電話番)

 数年前に台風が上陸し、災害対応に従事した経験をお話しします。

 私は人事課職員として従事することとなりました。災害発生時に各課でやるべきミッションは決まっており、人事課は区役所全部署の災害対応に従事する各課の職員数を把握し、災害対策本部の防災課へ報告することでした。担当部署に電話して、状況を確認しホワイトボードに記入するだけの簡単な仕事でしたが、風雨が強まるにつれ様相が激変しました。

 区民から近隣の河川の状況や避難したほうが良いか、避難所はどこかなど問い合わせ数が激増し、災害対策本部の防災課職員が全て電話対応することになり、それぞれが抱える重要な業務を遂行することができなくなってきたのです。

 そこで、急遽他の部署から電話番を交代するため、私を含めて10数名の職員が呼ばれました。あまりにも本部が混乱していたため、引継ぎや説明もなく、避難所一覧の紙1枚を頼りに電話番を務めることになりました。

 最初のうちは、避難所の所在地など大半が容易に回答できる問い合わせのであったため、難なく対応できましたが、次第に重大な問題が生じてきました

 対策本部内に、ホワイトボードで各避難所の収容可能人数と現時点の人数が、数10分ごとに更新されるのですが、河川に近い避難所を中心にみるみる収容可能人数を上回ってきたのです。私たちにできたことは、避難所の連絡先を伝えて、最新情報の確認をお願いすることだけでした。

 水害MAPなどを見ながら、臨機で対応できた部分もありますが、自身の訓練不足と緊急時の想定ができていないことを痛感しました。マニュアル等があればよいのですが、あらゆる事態を想定することは困難でしょうね。

 今はコロナの影響で、人が密集できないため、感染症対策にも配慮する必要があり、苦労を重ねていることと思います。

災害発生時の体験②(避難所運営)

 電話対応に苦労する中、新たな問題が発生しました

 先に申した通り避難所のキャパシティ不足のため、新たな避難所を開設することになりました。ところが人手が足りません。そこで電話対応している職員を急きょ避難所に派遣することが決まりました

 訓練も受けていないし、何の備えもありませんでしたが、もちろん行くしかありません。現場では出張所の職員と区民センターの職員の計2名で何とか持ちこたえているとのことでした。

 防災課の職員が運転する車に乗り、避難所で降ろされました。余程、焦っていたのでしょうね。何と車が去った後に、場所を間違えていたことが判明し(区民センターではなく、出張所で降ろされていました)、傘も差さず、暴風雨の中歩いて区民センターに向かいました。あんなにすごい風雨の中歩くのは初めての経験です。

 避難所につくと、不安そうな顔をした2名の職員が迎えてくれました。全員避難所の運営は素人です。でも火事場のくそ力と言うか、皆で話し合いながら、やるべきことを洗い出し、必死で対応しました。物品の管理、消灯時間など避難者へのアナウンス、本部とのやり取りなど皆でやり、何とか無事にやりきりました。

研修担当としての苦悩

 区職員は必死で頑張りましたが、やはり素人目にも不十分と感じることもありました。当時私は研修係に在籍し、職員の災害発生時に対応スキルを高めることが急務と考えていましました。また、職員の防災危機意識の啓発も防災課の役割の一つですが、とてつもなく多忙であるため、そんな余裕がないのは明白でした。

 私は防災課と連携しながら、研修担当が主体で全職員を対象に、少なくとも避難所運営研修(やることは他にもありますが、これが1番効果的)をやるべきと考えていました。机上で区の防災施策や職員としての心構えを学んだところで居眠りするだけなので、実践に近い環境で徹底的に鍛えるしかないと訴えましたが、力及ばず廃案となりました

 課長としては研修担当がそこまで研修を作りこめるのか疑問が残り、防災課との関係構築もまだ浅いことから、冷静な判断だったと思います。今思えば、実施体制・スケジュールの想定が甘く、何より私の情熱が不足していたことも見透かされていたのだと思います。

 今回は私の経験を中心に防災課の仕事についてお話ししました。数年前の話ではありますが、いま本当の大災害が起きたら、統率が取れず大パニックになることのは火を見るよりも明らかです。

 これは防災課の責任とは言い切れません。いざとなった時に区民を守るの区職員を育てるのは、全庁的な取り組みで絶対に力を抜いてはいけません。でも、まずは防災・水害マップの確認、所属の緊急配備態勢の確認など、個人でできることから始めましょう。

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