(26)区役所の仕事(産業振興編)

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 区役所の仕事紹介編、今回は産業振興についてお話しします。区役所の中では、仕事の裁量が広いのが特徴で、職員の中でも人気の高い部署であると言えます。私は産業振興の1セクションである観光振興系に7年在籍していました。観光課を中心に、産業振興の仕事についてお話ししようと思います。

役所の中では異色の存在

 まずは、産業振興の仕事について全体像をお話しします。

〇産業振興の部署は、商業・工業・観光(文化)振興から成り立つ自治体が多い。自治体により、各セクションの力の入れ方に強弱がある(例:町工場が多い→工業セクションに重点)。

〇条例や規定にとらわれない仕事が多く、前例も少ないことことから、仕事の裁量が広い(逆に言うと考えることが苦手の人は向かない)。

〇工場、商店街、観光関係の団体など、様々な団体・プレイヤーと関わ機会があり、人脈が広がる。

〇一つの事業として完結しており、何をやっているのかが見えやすいことから、議会からも区役所内部からも注目を浴びることが多い。

〇産業振興協会や工業振興会、観光協会など、民間機関により設立された団体(半官半民に近い)と関わることもあり、区職員の出向もある。

〇事業の企画、予算取り、関係機関との調整、契約、広報、イベントの現場回し、事業報告書の作成、補助金業務など、幅広い業務を学ぶことができる。

 工業・商業・観光振興も、自治体に人が訪れて、区民・団体・企業が活躍し、区にお金を落としてもらうことを共通の目的として掲げていることが多いと思います。そのため、観光・商業・工業の各セクションが密接に連携しながら仕事を進めていくことになります(観光と商業は結びつきが強いです)。

どんなことをやるの?

 先述のとおり、私は観光振興の仕事に7年関わっていたため、観光関連の仕事は一通り経験できたのではないかと思います。ここでは産業振興の一例として、観光課のお仕事を紹介します。

(観光振興の仕事例)
〇自治体の認知度を高めるためのプロモーション活動
・旅行フェアへの出展
・SNSを活用した情報発信や、観光パンフレット等の作成
・民間媒体(メディア)を活用した情報発信

〇各種観光インフラ整備
・観光案内所の設立
・観光案内サインの設置

〇区民向けのイベント実施
・大会場でのイベントや、まち歩きなど、大小の様々なイベントの実施

〇区民団体の支援
・ボランティアガイドや、観光区民サポーターの育成
・NPO団体が実施する事業の補助金業務
・飲食店等の多言語メニューの作成支援

(事業を行うことが目的になっている<私の失敗>)
 自治体で観光振興の機運が盛り上がったのが、ここ15年程度のため前例がなく、手探りで色々と試しながら事業を展開しました。そのため。数多くの失敗を経験しました。

 私が特に失敗したなと覚えているのが、プロモーション活動です。私の自治体は知名度が低く、首長からとにかく区の名前を広めろとの強い圧力がかかっていました。

 「とにかく名前を売れ」というのを一義的に解釈して、WEBメディアの露出、観光媒体への掲出、インフルエンサーの招請、旅行フェアへの出展など、本当に色々と実施しました。

 しかし、いくらやったところで「AND WHAT?」、つまり「名前を売ったあとどうするの?」を全然詰め切れていないまま、突っ走っていました。「10万ビュー達成したぞ、○○のメディアに掲載されたぞ」といった一発花火に反応するだけで、事業の目的や、達成すべき成果を不可彫りできていませんでした。

 イベント事業も同様で、「やったー、3万人の来場を達成したぞ。前年比10%増だ」というのは一見成功のようでもありますが、果たしてそれが成果指標として正しかったのか。新規事業者の開拓、経済的効果、区民への啓発など、本当の狙いを絞り切れていない、いわゆる「イベントを行うことが目的」になっていました。

産業振興の難しさとは?

(卵が先か鶏が先かの議論になり決着を見ない)

 産業振興の議論では、いつも「卵が先か、鶏が先か」の議論になります。観光課の仕事では以下のようなやり取りがいつもありました。

(卵)まずは、他と比較してもアピールできるコンテンツを作ろうよ!

(鶏)コンテンツを作ったところで、自治体の知名度がないと意味なくね?

(首長の思いが一人走りする)

 次に観光などイベント事業は、首長からすると派手で、どうしても行政(区長)の思いが先走りし、区民とかけ離れた事業が行われてしまうことがあります。結局レガシーが何も残らない、やった感だけが残ってしまいます。

(外郭団体VS区の対決)

 工業振興協会や観光振興協会、商店街連合会といった外郭団体が苦の補助金や事業の委託を受けて、実務を担うことがあります。本来区と外郭団体は両輪の関係ですが、方向性の違いや区独特のお堅い考え方についていけず、険悪な関係になることが多いです。

 福祉などと異なり、「○○振興」の仕事は、絶対に必要な事業ではありません。そのため、なぜ(税金を投じてまで)その事業を行う必要があるのかについて、いつも考える習慣、WHYの発想が鍛えられます(私はだめでしたが‥)。また、自分の考えた政策が形として残る喜びはあります。最初に申し上げた通り、区役所の花形と考えられる、産業振興の部署に行けたら、是非自分のカラーを出してくださいね。

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