(13)期間の短い区役所の異動

その他

■頻繁に異動がある区役所

〇3から4年に1回は異動がある
 まずは、異動のポイントです。
・幅広い経験を積ませるため、3年から4年の間隔で職場異動する。
・新規採用職員については(明確な取り決めはないが)、最初の10年間で3か所経験させる。
・総務→出張所→教育→福祉など、業種の異なる部署に異動する。

 折角仕事内容を覚え、人脈を築き、仕事のやり方にも徐々に自分カラーを出せるようになったと感じる頃に異動するため、本人としても組織としても残念な面はあります。冒頭、広く経験を積ませるためと書きましたが、仕事に慣れることへの緩みや癒着を防ぐことを重視しているとも言えますね。
 ちなみに私の16年の職歴は福祉→外部機関派遣→産業振興系→外部派遣→人事という職歴で、派遣を二度経験し、役所内では3つの部署しか経験していない珍しいタイプだと思います。

〇外部機関への派遣もある
 職員の8割以上は区役所内の部署異動のみでキャリアを終えると思いますが、中には外部機関へ派遣されるケースもあります。思い浮かぶ派遣先は以下のとおりです。
・東京都
・特別区人事厚生組合
・他自治体への派遣
・区内・区外の公益・社団財団法人(社会福祉協議会・体育協会・国際協会・観光協会など)
・国の省庁派遣(中小企業庁など)
 

 区の顔として外部機関に職員を派遣するため、変な人を送るわけにはいかず、端的に言えば「あなたは選ばれた人です」。私は福祉部から全く異業種の国際系の外部団体に派遣されたため、最初は本当に苦労しました。それでも何というか区役所を離れ、オープンな空気で外部の自治体の仲間との交流も増えるので、私としては派遣はポジティブにとらえてよいと思います。一方で、東京都や省庁への派遣となると、残業は相当増えると思うので、そこは覚悟しておいてください。

■自己申告書はしっかりと書く

 異動の流れですが、
・11月頃に異動希望先や自身の能力評価、生活への配慮などを記した自己申告書を作成する。
・自己申告書をベースに12月初旬に上司と面談する。
・12月から2月下旬に、自己申告書や各職場からの要求などをベースに人事課の異動担当班が異動名簿を作成する。
・3月中旬に内示名簿は公表される。


 午前中に内示名簿が管理職に手渡され、お昼前には異動対象者が所属長に呼ばれます。その日の夕方には異動名簿が掲示されます。この日は区役所が荒れます。異動したいのに残留した人、希望していない部署への異動が決まった人は、無言で休暇を取ったりします。「(次に移動してくる)この人どんな人?」と人物確認の電話も架かってきます。面白いですよね。
 前振りが長くなりましたが、「自己申告書」を軽く扱ってはいけません。最近は人事担当者も本人のキャリアプランを尊重するために、極力希望を叶える配慮をしているように感じます。そのために、この自己申告書作成のタイミングで、自身のこれまでのキャリアを見つめ直し、今後どんなことがやりたいのかじっくり考え、上司にぶつけてみるのが良いと思います。

■異動について思うこと

 3から4年間隔で異動することに賛否両論あると思いますが、私は異動をポジティブにとらえています。というのも、文書事務、予算・決算事務、補助金関連業務など、部署は違えど同じような業務をすることが多いのが実情です。つまり、これらの知識をしっかりと積んでいる人はどこに行っても重宝されると言えますね。
 また、区役所の仕事は、税金・保険・福祉・産業支援・教育・子育て支援・まちづくりなど、本当に多岐にわたるので、様々な部署を経験したうえで、自分が本当にやりたい、高めていきたい分野を見つけるのもよいと思います。

■私の場合

 さて、最後に私の異動経験ですが、異動希望が通ったことは一度もありませんでした。でも、それは人事課や上司が私の適性などをふまえて考えてくれたのかしれませんね。
 今から考えると、その最たる典型が私の最後の職場である人事課の職員育成部門でした。元々人材育成には興味があり、「まあいいんでない」くらいに思っていました。ところが、3月の最終日、4年間お世話になった上司から「いいこと。今の職場とは考え方や仕事の進め方が全然違うからね」と言われました。私はその真意が分かりませんでしたが、行ってみてその意味するところが分かりました。とにかく形式重視、言葉の隅々まで徹底的にこだわる、常に文書根拠を求められる仕事スタイルが、外部派遣や事業畑を歩んできた私に全く合わず、年を追うごとに弱っていくいる自分に気づいていました。最終的には極度にモチベーションが低下し、退職を決意する最悪のケースになったわけです。
 当時は区役所そのものを嫌悪した時期もありました。でも今振りかえってみると、事業系ばかり歩んできた自分に、真逆のスキルが求められる部署を経験させたいという区の思いがあったのだと思います。それに耐え切れなくなり、「自分は逃げ出したんだな」と今は思っています。間違いなく、あの仕事を後1年続けていたら自分は壊れていただろうし、たとえ異動できたとしてもモチベーション維持することはできず、不毛な時を過ごすだけだったに違いありません。転職は最善の選択肢だったと今もそう思えています。

 今回は区役所の異動について書きました。異動は一つのリスタートにもなります。自分のキャリア構想にあった部署に行けるといいですね。 

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