(12)区役所の各役職の役割(課長)

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 今回は管理職、区役所でいう「課長」の仕事にフォーカスします。管理職は年収1000万プレイヤーになるための登竜門です。私の区役所キャリアは係長どまりで管理職の詳しい仕事・本当の悩みを知るよしはありませんが、仕事を通じて管理職と話をすることが多かったため、私から見た「管理職」についてお伝えします。

■課長とその役割

 課長の役割は言うまでもなく、課の仕事を円滑に回して、ミッションを達成することにあります。ここでは課長昇任に伴い、これまでと明らかに変わることについてお話しします。


〇議会デビュー
 議会は年4回の会期があります(特定の事項を検討する常任委員会などもありますが、ここでは省略します)。議会の壇上に立つのは主に部長級ですが、予算特別委員会・決算特別委員会では、議員から質問が出れば、課長が登壇することもあります。区長・部長が読む原稿も課長が作成し、部長が微修正して区長・副区長にあげるため、課長として恥ずかしい原稿は書けません。議会の会期中に関わらず、議員さんの対応は、課長の大事な役割の一つです。

〇人事評価・部下の育成 
 これまで上司から評価される立場でしたが、それが一転し部下を評価する立場に回ります。人事評価は日頃の部下の仕事の取り組み方(プロセス)と結果をもって評価します。そのため、課長は日頃から部下の仕事なりを見て、記録する必要があります。その記録の積み重ねが人事評価の基礎資料になるのですが、実際のところ、課長がどれほど部下の仕事ぶりを見ているのかは甚だ疑問です(大所帯を持つ課長なら仕方ない側面もありますが)。ベテラン課長になると、自分なりの評価のつけ方、部下の見方もポイントをつかめるのでしょうが、新米の課長は大変でしょうね。部下の皆さんは、人事評価の面談の時「この評価の根拠は?」と突っ込みまくってください。

〇課のトラブルを未然に回避する。
 役割と言うと少し変かもしれませんが、何かトラブルが発生した時、課長は最後の防波堤として対処しなければなりません。基本的にはトラブル処理に部長を登場させてはいけません。もちろん、課長で対処しきれない場合は、部長以上が登場しますが、課長としては、その前に未然に防げなかったのか厳しく問われるでしょうね。

■管理職選考試験

 管理職選考は、択一試験と論文、資料読解→記述、面接選考があります。択一試験は主任3年目に前倒し受験が可能です。年数を計算すると、大卒で最速のパターンは、係員5年→主任5年→係長2年→課長補佐2年→管理職デビュー。つまり15年目(30代後半)には課長になれるということですね。
 私は択一試験の勉強会のようなものに参加したことがあります。問題の難度ですが、範囲がものすごく広いものの難易度は決して高くありません。合格者の皆さんは、範囲が広いので1年単位で計画を立てて勉強しているようでした。昨今、管理職選考の受験者は年々減っているようです。昇進のチャンスがあるのに受験者が少ない。民間企業ではこのようなことがあるのでしょうか?

■これまで関わってきた課長を見て思うこと

〇在任期間が短すぎて
 課長が一つの職場にいるのは2年、長くても3年です。1年で異動する課長も何人も見てきました。でも、これって変ですよね?時代の流れに合わせて区役所も仕事を変えていかなければいけない中、ますます専門的な知見が問われるにもかかわらず、たった2年でどれだけの知識・人脈が築けるのでしょうか。

 役所経験が長いので、仕事を回すことは問題ないのですが、社会に求められる本当の課題を解決することは難しいのが現実と感じます。役所の業務フローである「計画を立てる→予算をつける→実行する→振り返り・軌道修正」を考えると、本当に自分のカラーを出す政策を打つなら4年、少なくとも3年は欲しいところでしょうが、「現実は前任の引継ぎ→難解な宿題を後任に引継ぐ」という負の連鎖が見て取れます。

〇バックキャスティング型の人材は少ない
 課長自身、課が担う本当のミッション・解決すべき課題が見えていない(見つけられない)ことから、どうしても前年踏襲、もしくは自分の経験の延長線にある施策が中心である印象を受けました。徹底的に調査・分析し、あるべき未来の方向性と高い目標値を定めて組織を動かす「バックキャスティング」で考える課長に出会ったことは正直ありません
 先程述べた在任期間が短いこと、議会との折衝、硬直的な計画・予算に縛られるなど、区役所独特の制約があるとは思いますが、これだけ社会が目まぐるしく動く中、今後は「バックキャスティング思考」で組織を動かすリーダーも出てくると思っています。

〇議員対応の巧拙
 どの課長も本当に議員の対応には気を使っていました。まあ、部長からすると極端な話、「議員と区民とうまくやってくれればいい」というのが課長級への期待でしょうから、議員と円滑な関係・コミュニケーションを取ることは課長の極めて重要な役割の一つになっています。
 そして、この議員対応のうまい課長・下手な課長は本当に分かれます。議員の意向を組みながら、早め早めに情報を提供できる人もいれば、議員に情報が届かず地元住民から初めて聞いて激怒させる課長もたくさん見てきました。議員は「俺は聞いていない!」というのが一番嫌いなんですよね。議員対応がうまくいかず課長が冷や汗をかきまくり、その焦りが課全体に伝わるシーンも数多く経験してきました。優秀でも議員対応でつまづく課長はたくさんいます。

 今回は課長の仕事について書きました。ネガティブなことばかりでしたが、もちろん良いこともたくさんあると思います。仕事の範囲、日々接する人の職層が上がる、管理職しか入手できない情報に触れるなど世界観は変わると思います。また、やはり部下はかわいいと思います。今回の記事を読んで、区役所の課長のイメージを少しでもつかんで頂けたら幸いです。

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