(10)公務員キャリアのスタート「係員」・「主任」

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 前号で区役所の昇任体系の全体図をお示ししましたが、今回は長い区役所キャリアにおける序盤の役職「係員」・「主任」についてお話しします。係員5年目に受験資格を得る主任は、区役所で一番厳しいポジションと言われる「係長」昇任が紐づけとなりました。この辺りを主任試験と絡めてフォーカスしたいと思います。

■係員とその役割

 ごく一部の経験者採用(主任枠の採用等)を除き、採用者の大半は区役所のキャリアを「係員」から始めます。一昔前までは「主事」で知られており、ベテラン職員は未だにこの名称を使うこともあります。係員時代の5年間(最速で主任に合格した場合)は以下に示す通り、基礎力の養成期と考えてください。

〇まずは仕事・職場に慣れる。とにかく辞めない。

〇一つずつ確実に仕事を覚えていき、一人でできることを少しずつ増やしていく。

〇分からないことは謙虚な姿勢で先輩から教わる。そうすれば先輩方も優しく教えてくれる。

〇何でも聞ける仲間を増やすこと。特に同期の仲間は大切にする。

 区役所の仕事はそのほとんどが条例や規則に基づいて事務処理を行います。出張旅費など細かいことも全て取り決められているので、根拠を確認する→前例を調べる→ミスのない文書作成・システム処理を行う習慣をこの時期に身に着けてください。

■係員で必ず経験する部署異動

 徐々に仕事を覚えていく係員時代のハイライトは「初めての異動」と「5年目に受験対象となる主任試験」になるでしょう。異動については、取り決めがあるわけではありませんが、幅広い能力と経験を積むことを目的として、区職員は概ね最初の10年間で3つの職場を経験することとされています。

 異動先は、現職場と異なる部署に移動します。例えば福祉部なら次は総務部といったイメージです。異動先の検討については11月から12月初旬に、本人が作成する自己申告書(異動希望先・自身の能力分析等を記入)に基づいて、上司とのヒアリングが行われます。

 私は異動希望が一度も通ったことがありませんが、近年はキャリア形成支援の観点から、本人の異動希望に極力沿うような配慮もなされているようです。このタイミングで、自身のこれまでの道のりや今後のキャリアをどう積み重ねていくかを考えて、思いのたけを伝えてください。

■主任とその役割

 まず主任の役割ですが、係長をサポートしより専門的な業務に従事する‥とありますが、正直なところ係員とそう大差はありません。そのため、一昔前は絶対に係長にはなりたくないけど、仕事が同じで給料は一気に上がるから「絶対に主任になるべき!」と言われていました。

 それが一転したのが、主任は係長級に昇任することを条件とすることに制度変更したことです。この係長承認が紐づけとなっているために、優秀なのに主任試験を受験しようとしない職員が数多くいるのが残念なところです。受験するかの検討にあたっては、係長の昇任は気が重たいようです。区役所は「係長行政」と言われるくらい、何かあったら「おい係長!」とすぐに呼ばれるなど、係長は現場の実態はほぼ係長が掌握しないといけない辛いポジションなのは確かです。

 最後に主任に期待される役割を以下の通り、まとめました。

〇専門性を活かして、形式にとらわれずバリバリ仕事をこなす。

〇後輩の指導、係長のサポート。

〇5年後の係長昇任を見据えた準備期間。

■一発で突破したい主任試験

 最後に主任選考試験の概要をお話しします。

〇勤務評定と筆記試験、面接が選考対象。

〇客観的に評価できる筆記試験の比重が(おそらく)高い。

〇筆記試験は択一(地方自治法・地方公務員法・区政策等の時事問題)と論文

〇試験対策支援を組織単位でやっている職場が多い。ちなみに私も受験者の論文添削を毎年やっていました。

〇筆記試験通過者に対して面接が行われる。面接は面接官3人と受験者4人程度の集団面接。

 合格のハードルが年々高まっている印象を受けます。仕事が忙しく、筆記試験の余力がなく、仕事の暇な部署の職員が合格するなど、恨み節を聞くこともありますが、長い区役所のキャリアを考えると、一度落ちたからと言って落ち込む必要ありません。努力は必ず報われるので、主任になりたい意思があるなら次年も是非チャレンジしてください。

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