観光案内所設立プロジェクト~公務員なのにこんな仕事するの?~

その他

その12「B工事」

 この案内所の工事は3つのフェーズで区分されていた。A区分は駅ビルオーナーが行う工事。壁・柱・天井など、いわゆる基礎的な部分で、コンクリートむき出しの状態まで作るようなイメージだろうか。次に行われるのがB工事。ここでは電気配線工事がメインとなる。配線の基本的な仕様は駅ビル全体で統一するが、各テナントのレイアウトによって配線形態が異なるためである。業者は電鉄が指定する業者に固定される(テナントはB工事業者を指定できない)が、契約は個別に行うのがB工事である。C工事は各テナントで自由に契約する工事で、内装をはじめ各テナントのカラーを前面に打ち出す工事である。

 工事業者に提出するB工事用の見積依頼書は設計業者が作ってくれた。しかし、この辺りからいよいよ事務職の私にはチンプンカンプンな世界に入ってきた。建設用語が分からず、各項目ごとの見積額も根拠が意味不明すぎる。B工事の施工担当であるT社の担当者は、私の初歩的な質問に対しても一つ一つ丁寧に対応してくれた。しかしそれでも、ベースとなる物差しがないので見積書の内容が正しいのかどうか分かりようがない。

 金額の妥当性判断のため、庁内の施設管理担当に相談した。この時点では、何か問題が発生するたびに関連部署に相談に伺うやり方であった。施設担当者は半分迷惑、半分同情の顔で図面を見ながら、見積書の内容を確認してくれた。さすが「餅は餅屋」である。10分見たくらいで、「何点か確認したほうがよい点はあるが、作業と価格はおかしいものではない」との回答をくれた。専門家の目から見て問題ないなら、事務屋があれこれ突っつく必要はない。決裁の協議欄に施設管理課を強引にねじ込み、専門部署の知見も得ているというごり押しで形を整えた。

 まだ大きな問題があった。契約問題である。予算要求の段階で、庁内の建築部署から通常B工事は「負担金」の費目で予算計上するとの助言を受け、それに従った。ところがいざ工事の直前になって会計当局から負担金として支出するには、区がその金額を負担する根拠資料が必要とのことであった。電鉄からもらったテナント向け説明資料には、「B工事は各社共通でT社が行う。費用は各テナントの設計によって異なる」といった記載があったが、これでは不十分であるとのことであった。B工事まで期日が迫っており心労がひどかった。

 こういった地味だけど面倒なトラブルが本当に多かった。仕方なく、経緯を親会社の電鉄に話して、苦労の末、社長名の入ったB工事負担の依頼書を徴収した。電鉄を動かすのは大変な作業だった

 案内所完成3~6か月前は本当に激務だった。朝6時から22時くらいまで毎日働いた。おまけに全てが未知の仕事で、その都度調べないといけない。もはや一担当者では手に負えない業務量となっており、ようやく全庁をまたいだプロジェクトチームを作ろうという機運が高まってきた

コメント

タイトルとURLをコピーしました