観光案内所設立プロジェクト~公務員なのにこんな仕事するの?

その他

その11「予算要求」

 基本設計を無事に乗り切ったのも束の間、7月末に財政当局から次年度予算編成の方針と作成スケジュールが送られてきた。観光案内所については、詳細設計(工事用の細かい図面)、工事費、運営業者委託費、備品購入費が当初予算要求の主な対象となる。その他全て合わせると5000万くらいになる見込みであった。

 これは当区では前例のない事業である。それでも積算根拠をきちんと示さない限り、予算が承認されることはない。詳細設計は基本設計と同じくT者に依頼することが決まっていた。随意契約のため、ほとんど相手の言い値となる。しかし、T社から見積もりを取った工事費が法外に高い。床、天井、壁、柱などの施工内訳をもらうが評価のしようがない。

 運営業者委託費は、他の自治体からヒアリングしたり、観光案内所の運営実績のある大手旅行会社J社から徴収した見積額を参考にした。想定はしていたが、やはり高い。外国語対応ができる人件費がどうしても高額となる。また、この駅ビルはメンテナンス等がない限り年中無休で、案内所もそれに合わせなければならないことも大きく影響した。

 今さらながら思うが、本当に箱もの(施設関係)は金食い虫である。運営するだけで莫大な金がかかり、今後はメンテナンス費用なども絡んでくる。とにかく根拠書類を揃えて、予算要求説明書にびっちり文言を書き入れ、課長・部長審査で何度もやり直しを受けながらもなんとか体裁を整え、9月末、財政担当者に資料一式を提出した。

 当区の財政担当者は分担性である。例えば、A氏は産経部、B氏はまちづくり部、Cは福祉部といった感じである。観光課の担当はA氏であった。この後はA氏からの質疑、追加資料の要請等に対応しながら、10月末の財政部長レクに向けて準備を進めていく。A氏は穏やかで人間味があり、応対するのは苦にはならなかったが、徹底的な質疑を受けた。

 当時は口頭のヒアリングはなく、全て書面で質疑応答を行った。この観光案内所は突っ込みどころが満載だったのだろう。終いには書面の質疑応答は第17次質問にまで及んだ。質疑応答も終盤戦になると、お互い切羽詰まってくる。16時に質問をもらって、何時でもいいのに本日中にくださいといったこともあった。財政側もこちらの状況を組みながら誠意に対応してくれたので、私も必死に対応した。今思えば辛かったが仕事としては充実していたと思う。そして無事に資料を揃え、財政部長レクをクリアすることができた

 予算編成作業は仕事力を鍛えるには絶好の機会になると思う。まずはマーケティングスキル。「○○の課題があるから、▲▲を★★までに達成する必要があり、そのため数ある事業中から◇◇を選んだ。そのためには■■のお金が必要で、そのための根拠は☆☆である」といったことを、調べ上げ、仮説を作り、組み立てていくスキルが養われる。

 そして、これを相手方に分かりやすく・腹落ちできるような論理的な思考も同時に鍛えられると思う。いまの転職先にはこれらのスキルはほとんど問われることがない。いまブログを書きながら、当時は嫌だったが、すごい仕事をさせてもらっていたことを懐かしく振り返っている。

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