観光案内所設立プロジェクト~公務員なのにこんな仕事するの?~

その他

その10「区長レク」

 重要な意思決定を下すのは、もちろん区長である。意思決定の前には、各部署の部課長級が区長にレクをして承認を得ることが多い。区長と直接話すのは幹部クラスに限られるため、ほとんどの職員は区長と直接話すことなく退職することが多い。

 区長は超多忙で、アポイントを取ることも大変である。私がいた区では、アポ依頼書に訪問目的を詳細に書いて、秘書を通じて区長に直接レクするか、依頼書を基にyes/noの回答をもらっていた。イチイチ依頼書を作成しないといけないのだが、あまりにたくさんのアポ依頼があるため、秘書課が捌き切れなくなったための処置だろう。

 どのレベルの案件を区長までもっていくかは部課長の判断。観光案内所プロジェクトは部としても大事業であり、区長に判断を求める場面が度々あった。そして、ありがたいことに毎回区長はアポに応じてくれた。何故か課長は毎回区長レクに私を同席させた。覚えている限り、3回は最低区長室に入ったと思う。区長室はドラマで出てくるような社長室ような感じであった。重厚感のある大きな机、応接用の豪華なソファー、その周辺にはお客さんと話しのネタになる区工芸品の展示などがあった。

 区長は大人気のようだ。秘書課から指定された時間に行っても大抵3組程度、控室に待機していた。相手方は当然課長・部長級だ。「今日は何の案件持ってくの?」と部課長級の雑談が控室で行われ、私は気まずい思いをしながら聞いていた。前の組が終わるとようやく入室だ。区長は穏やかな性格で「ご苦労様。宜しくお願いします」と毎回言ってくれた。

 課長が口火を切り、ざっと概要を説明した後、区長からOKをもらいたいことについて意見を求める。1回目の区長レクは基本設計だったと記憶している。つまりデザインの承認だ。ここまで進めてきてちゃぶ台をひっくり返されたら大変だが、このデザインならNOとは言われない自信もそれなりにあった

 区長はデザインを大変気に入ってくれて、「観光案内所なので華やかな感じがいいね」と言ってくれた。特に赤色の椅子が気に入ったようで、「これが特にいいね」と言っていた。ちなみにこの椅子が後で尾を引くことにはなった。これで基本設計は実質上、完了したことになる。

 区長レクでは本当に細かい部分を担当者の私が補足する程度で、あまり話す機会はなかったが大変良い経験となった。最終意思決定の場面、このために部課長は部下を叱咤激励しながら企画を詰め、資料を準備させる。そして預かった資料は部課長が責任をもって区長に説明する。この一連の流れを体験できたことは、仕事の進め方について広い視野を与えてくれた。事務方はここまで持っていくことに全力を尽くさねばならない(もちろんその後も大事だが)。

 それにしても区長が仕事でカバーする範囲は広いと感じた。福祉、産業経済、まちづくり、保健・福祉、議会対応など、部課長から意見を求められても、専門的なコメントは出せないだろう。区長は大きな方向性だけ示し、それを事業化するのは部課長の役割である。我々部下は日々勉強して専門的な知識を高めていかないといけない。区長レク後は、そんなことを思いていた。

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