観光案内所設立プロジェクト~公務員なのにこんな仕事するの?~

その他

その6「基本設計」

 4月に開催された電鉄主催の説明会で指示されたとおり、9月末までに「基本設計」を電鉄に提出しなければならない。しかしながら、この案内所設置事業は次年度の予算要求が終わった後に俎上に上がったため、当初予算には計上されていない。財政当局からは他事業からの流用ではなく、しっかりと補正予算にあげるよう指示を受けている。

 基本設計は、電鉄からアドバイスを受けT社に依頼することになっている。手元にT社から入手した見積もりがある。金額は200万円を超えている。相場観が分からないうえ、随意契約なので言い値になるため、いい気はしない。当初予算の査定なら、財政当局から相当シビアに金額の妥当性について問われるのだが、区長も関わる案件であるためか、あっさりと財政審査を通過し、議会も突破した。

 基本設計は、案内所のコンセプトなしには作ることはできない。そのコンセプト作りは、課内で何度も議論を重ねた。答えのない仕事である。様々なコンセプトが俎上に上がったが、区ではインバウンド誘致に注力していたため、メインターゲットは外国人旅行客に設定された。それなりの根拠はある。近隣には個人旅行客の外国人旅行者の宿泊者数が激増していることが、宿泊統計を通じて把握している。ホテルを新設する話も聞いている。

 しかし外国人宿泊者数は増えていても、単なる宿泊拠点となっており、皆お台場や浅草と言った有名な観光地に行ってしまう(当然の話しだが)。これでは地元への経済的なメリットが何もない。外国人旅行客にまちへ出てもらいたい。そんな思いを込めて「案内所からまちへ」を基本コンセプトに設定した

 外国人旅行客をターゲットとする以上、対応言語は英語だけというわけにはいかない。訪日旅行客数の上位国を想定して、対応言語は英語・中国語・韓国語とした。また、地元の方やビジネス目的の来訪者もふらっと立ち寄れるよう、地元案内の情報を充実させ、お土産を想定した物販も実施することにした。やはり日本人客を取り込まないと、一定の集客は見込めない。面積に限りがあるため、横浜駅のような荷物預かりサービスは断念し、案内所の一角に着物の着付け体験ができるスペースを設けることにした。

 課内の打ち合わせは、自分の素案に対して、職員が好き勝手なことを言うのでストレスがたまる作業である。特に身内からの「観光案内所をつくる意味が分からない」・「お客さんなんて来るわけない」といった当事者意識のない意見はダメージが大きい。その一方で、全員の意見を組み入れながら、徐々に総意にまとめていく作業は良い経験となった

 その後、無事に部長・副区長・区長説明を終え、いよいよ6月に第1回のT社との打ち合わせを行うことになった。

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